今日は大晦日だ。旦那さんは、
僕は相変わらず鼻をグシュグシュさせ、ぐっすり眠り込んでいる子供たちの
馬の仕事を終えた旦那さんが通りかかり、
そう言いながら、しげしげと見ている。そして、いぶかしげにニャンキーハウスからヒョッコリ顔を出した僕をジッと見つめた。僕は、(よくやった!)
「このウサギ、すごいネ」
旦那さんはそう言って屈むと僕の頭をゴシゴシとなぜてくれた。
「ブチニャンじゃないだろう?これはトーマスが捕ったんだろう?
そう言って僕の顔をジッと見つめた。
(ばれたか!)
僕は、
「捨てたりしないでね。ニャン」
キクイチオオー婆ちゃんの話を聞いて以来、心配でたまらなかったん
旦那さんは、
「あらー、すごい!誰が捕ったのかしら?」
奥さんは驚いて叫び、
「ニャン、ニャン、僕だよ僕」
小さな声で言ってみた。
「まさか、ブチニャンじゃないよネ?」
あーあ、僕はいつもこの嫌みたらしい言動に苦しめられているんだ!でも僕は奥さんの事、悪く言えないよ。毎日ご飯をくれるのは奥さんだもの。
「ああ、ブチニャンじゃないだろ。それにしてもすごいよ!」
奥さんの声を聞きつけてボンジュがニャンキーハウスから出て来た
「ボンジュ、元気になった?」
奥さんは、すぐさまボンジュを抱き上げた。
「まぁ、どうしたの?目クソ、鼻クソつけて。これじゃハンサムボンジュも台無しじゃない!」
そう言ってティッシュで顔を綺麗に拭いてやっている。
この二人は本当にボンジュだけには優しいんだ。
「サァ、ボンジュ!ウサギの肉食べなさい。元気になるよ」
奥さんはボンジュをウサギの肉の前におろし、
ボンジュは奥さんが行ってしまったのでガッカリして、
「どうして奥さん、今日は遊んでくれないのかな?」
「お正月で忙しいんだよ。二、三日したら又、
慰めてやると、
冬の夕暮れは早い。
(どうして葉っぱの代わりに目刺しを刺し込んでくれないのか)
と言い合っている。
葉っぱはネ、
人間って奴は、いつも自分だけが正しいと思っているんだヨ!
人間の家のしめ飾りが終わると、次は厩舎に付け始めた。
見ている僕に気付いて、
「ブチニャン、しめ飾り、ニャンキーハウスにも付けてあげようか?」
と奥さんは笑顔を向けた。
「冗談じゃないよ、そんな縁起の悪いことしないでくれ!」
僕はそう言ってサッサと厩舎に入っていくと、
「人間ていうのは、本当に縁起が悪いネェ」
と鼻の穴を膨らませてぼやいていた。
「本当に進歩がないよ!ニンジン付けろ!ニンジン付けろ!」
同調して騒ぐ馬たちの前を横切り、僕はその場を後にした。
厩舎のそばの外灯が灯って間もなくトーマスが戻って来
「ニイ!ハイ、コレ!」
その声にニャンキーハウスから顔を出して見ると、目の前に小魚が置
「そうよ!これを目刺しにして、しめ飾りが出来るでしょ!」
そこへヨモブチも戻って来た。
「オーイ、門松取ってきたゾ!」
見ると、ヨモブチの口には、トド松の小枝がくわえられていた。僕は神聖な面持ちでニャンキーハウスの右には門松、
「サァ、これで食べ物も沢山あるし、門松も付けたし、
トーマスが嬉しそうに言った。
「子供たちに言っておくけど、正月の三が日は、
ヨモブチが重々しい声で言い聞かせている。そうだった、
「皆、ヨモ伯父ちゃんの言うとうりだよ!」
僕も注意をうながした。
「ハーイ!」
返事は良いが、子供達はまるで聞いていないようだった。
(ホントに分かっているのやら)
やれやれ。
「お正月ってなあに?」
ボンジュが目をパチパチさせて聞いてきた。
「エート、エート」
トムが一生懸命に考え、頭を傾げている。
「お正月って楽しい事?」
今度はミイが聞いてきた。
「皆揃って、ゆっくりと楽しく、
僕は分かりやすく子供たちに説明した。
「ワーイ!そうしたらお母さんもヨモ伯父ちゃんも、
トムは目を輝かせ、飛び上がらんばかりだ。
「そうよ、このウサギの肉がすっかりなくなるまで、お休みよ」
トーマスは笑みを浮かべ、穏やかな口調で子供たちに答えた。
「ヤッター!」
子供たちは揃ってトーマスに飛びついている。
今年は本当に良い正月が来たよ。母さんが去って三年の月日が流れ、